福島ハワイアンセンターの現在|改名の真相とフラガールの歴史・買収劇
昭和40年代の高度経済成長期、「常磐ハワイアンセンター」として誕生し、日本中に空前のハワイブームを巻き起こした巨大リゾート。炭鉱の町として栄えた福島県いわき市に突如現れた南国の楽園は、半世紀以上の歳月を経てどのように進化を遂げたのでしょうか。
映画のモデルとして知られるフラガールの知られざる奮闘譜、1990年の施設改名に隠された戦略的理由、そして外資系投資ファンドによる買収という激動の最新ニュースまで、現地取材と公開データからその現在地を詳解します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:かつての「常磐ハワイアンセンター」は1990年に「スパリゾートハワイアンズ」へ改名し、6つの温泉・プールテーマパークを擁する日本屈指の大型滞在リゾートへ進化している。
- 要点2:石炭産業の衰退を乗り越えるため結成されたフラガール(常磐音楽舞踊学院)の歴史は、映画『フラガール』のモデルとなり、震災復興を経て現在も毎日の本格ショーとして継承中。
- 要点3:2024年秋に米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループによるTOBが成立し、経営基盤の刷新と大型設備投資を進める転換期を迎えている。
【歴史の原点】常磐炭鉱の閉山危機から生まれた「日本のハワイ」と誕生秘話
かつて「黒いダイヤ」と呼ばれた石炭産業に依存していた福島県いわき市(旧常磐市周辺)は、1950年代後半から始まったエネルギー革命(石油への転換)により、存亡の危機に立たされていました。常磐炭鉱の閉山経緯を振り返ると、相次ぐ人員整理と地域経済の急激な冷え込みは避けられない現実でした。
その絶望的な状況下で立ち上がったのが、常磐炭礦(現・常磐興産)の元社長である中村豊氏です。中村氏は、炭鉱の採掘を阻み「厄介者」として嫌われていた毎分5トン以上もの高温坑内湧出泉に着目しました。海外渡航が自由化されて間もない1960年代当時、庶民にとって高嶺の花であった「ハワイ」を日本国内に再現するという、前代未聞の逆転プロジェクトを打ち出したのです。
こうして1966年(昭和41年)1月15日、「常磐ハワイアンセンター」が華々しくオープンしました。巨大なガラス張りの大ドーム内に常夏の世界を構築し、地元の炭鉱作業員やその家族たちを観光産業の担い手として再雇用する大胆な構造転換は、日本における産業創出・地域再生の先駆的モデルとなりました。

【フラガールの軌跡】炭鉱娘がプロへ駆け上がった感動の歴史と映画のモデル
リゾート誕生の象徴となったのが、ハワイアンフラとタヒチアンダンスを披露する舞踊集団、すなわち「フラガール」です。開園に先立つ1965年、日本初のダンス学校として「常磐音楽舞踊学院」が設立されました。
初代リーダーを務めた小野恵美子氏や、元松竹歌劇団(SKD)のトップダンサーで初代講師のカレイナニ早川(早川和子)氏らが率いた一期生たちは、炭鉱育ちでダンス経験が全くない素人ばかりでした。腰を振り肌を露出して踊る文化に対し、当時は根強い偏見や保守的な親族からの猛反対があったことが、関係者の手記や回顧録に赤裸々に記録されています。
厳しい猛特訓を重ねた彼女たちの奮闘劇は、2006年に公開された映画『フラガール』(李相日監督、松雪泰子・蒼井優出演)のモデルとして全国的な脚光を浴び、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しました。2011年の東日本大震災時には、施設が大きな損壊を受け休館を余儀なくされるなか、「全国きずなフラキャラバン」を展開。全国各地で笑顔と勇気を届けた彼女たちの精神は、現在も現役ダンサーたちへ脈々と受け継がれています。
【改名の真相】なぜ「福島ハワイアンセンター」からスパリゾートハワイアンズへ変わったのか?
昭和世代にとって馴染み深い「福島ハワイアンセンター(正式名称:常磐ハワイアンセンター)」という名称ですが、1990年(平成2年)3月21日、開業25周年を機に「スパリゾートハワイアンズ」へと改称されました。この改名理由には、時代背景に即した明確な事業戦略が存在します。
1980年代後半のバブル経済期、人々のレジャー需要は「日帰りで見世物を見る観光」から「温泉やウェルネスを宿泊でじっくり楽しむリゾート滞在」へとシフトしていました。運営元の常磐興産は、施設の大規模なCI(コーポレート・アイデンティティ)刷新を実施。単なるアミューズメント施設にとどまらず、いわき湯本温泉の上質な源泉を活かした「本格スパ&温泉リゾート」としてのブランド価値を確立するため、現在の名称へと生まれ変わったのです。

【買収と最新動向】米投資ファンド傘下入りで進む経営刷新と施設の現在
半世紀以上にわたり地域密着の独立経営を続けてきたハワイアンズですが、近年大きな経営の転換点を迎えました。2024年秋、米大手投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(Fortress Investment Group)が、親会社である常磐興産に対する株式公開買付(TOB)を実施し、経営権を取得しました。
長引くコロナ禍による観光打撃や、老朽化が進む施設インフラの更新費用が重荷となっていたなか、豊富な資本力とホテル再生ノウハウを持つ国際ファンドの傘下に入った形です。非公開化を経た現在、既存ホテルのリノベーションやDX(デジタル技術)による館内決済の利便性向上、インバウンド(訪日外国人客)の受け入れ強化など、次の半世紀を見据えた積極投資が本格化しています。
【徹底解剖】プール・温泉・宿泊棟のスペックと満足度
現在のスパリゾートハワイアンズは、東京ドーム約6個分に相当する広大な敷地に、6つの異なるテーマパークが広がる巨大複合施設です。一年中28度に保たれた全天候型ドーム「ウォーターパーク」をはじめ、日本三古湯・いわき湯本温泉の恵みを堪能できる世界最大の露天風呂「江戸情話 与市」など、多彩な魅力が凝縮されています。
| 主要エリア・ホテル | 詳細・スペックデータ | 一般的なレジャー相場・特徴 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| ウォーターパーク | 大大型屋内プール・高低差40.5mのボディスライダー「ビッグアロハ」完備 | 一般的な屋外プールと異なり、年間通じて室温28℃・水温30℃前後を維持 | 季節・天候を問わず家族連れが一日中遊べる国内トップクラスの屋内プール |
| 大露天風呂「江戸情話 与市」 | 浴槽面積1,000平方メートル(ギネス世界記録認定)の巨大露天風呂 | スーパー銭湯(通常100〜200平方メートル程度)を圧倒する開放感 | 硫黄泉の香り漂う本格温泉。夜間の幻想的なライティングと影絵劇は必見 |
| ホテルハワイアンズ | 連絡通路でパーク直結。和室・洋室・大宴会場を備えた大型本館 | リゾートホテルの標準的な1泊2食付きバイキングプラン | 館内移動が極めてスムーズ。3世代旅行や小さな子ども連れに最も適した拠点 |
| モノリスタワー | 2012年開業のプレミアムタワー。ハワイアン&フレンチの本格ビュッフェ | 高級温泉リゾートホテル水準の客室設えとダイニング空間 | カップルや大人の落ち着いた女子旅に最適。料理のクオリティが非常に高い |
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
長年愛される名所である一方、現地を訪れる際に押さえておくべきリアルな実態もあります。SNSや旅行サイトの口コミ検証から浮かび上がった重要ポイントを整理しました。
無料送迎バス「ハワイアンズエクスプレス」の圧倒的な恩恵
ハワイアンズ最大の強みの一つが、宿泊予約者専用の無料送迎バスです。東京、新宿、横浜、さいたま新都心、西船橋など首都圏主要駅から直行便が運行されています。東京〜いわき間の往復特急料金(通常1万円前後)が宿泊費のみで実質無料となるため、移動コストを劇的に抑えたいファミリー層から絶大な支持を集めています。
料金体系とお得な割引クーポンの活用法
日帰り入場料は大人(中学生以上)4,120円、小学生2,800円、幼児2,190円(通常期基準)ですが、定価での入場は避けるのが賢明です。公式Webサイトの前売り電子チケット(アソビュー!等連携)、JAF会員優待割引、タイムズクラブ優待などを利用することで、入場料を10〜15%程度割引することが可能です。また、夕方以降に入場できる「アフタヌーンチケット」や「ナイトチケット」を活用するのも有効な手段です。
一般に知られていない盲点とネットの誤解
ハワイアンズを訪れる際、事前のイメージとギャップが生じやすい代表的な注意点を挙げます。
第一に、「ドーム内と館内移動の寒暖差」です。ウォーターパーク内は熱帯雨林のような高温多湿環境ですが、ホテル棟への連絡通路や温泉エリアへの移動時は通常の外気温度に近づきます。特に冬場は、濡れた水着の上に羽織れるラッシュガードや専用のムームー・アロハ(ホテル宿泊者に貸出)をしっかり着用しないと体が冷えてしまいます。
第二に、「いわき市観光との組み合わせ」です。ハワイアンズ単体で完結しがちですが、周辺には東北最大級の水族館「アクアマリンふくしま」や、新鮮な海の幸が揃う「いわき・ら・ら・ミュウ」が存在します。車移動であれば15〜20分圏内にあるため、1泊2日の行程に組み込むことで旅の満足度が倍増します。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
地域経済・観光ビジネスの視点から分析した、スパリゾートハワイアンズの適性判断基準は以下の通りです。
【選んで間違いのない人】
- 首都圏から車を使わず、無料送迎バスで手軽に温泉・プール旅行を楽しみたい家族・グループ
- 雨天や真冬の寒さを気にせず、子どもをプールで思い切り遊ばせたい子育て世帯
- 映画や歴史に裏打ちされた本格的なフラ&ポリネシアンショーを間近で体感したい人
【慎重に検討すべき人】
- 静寂とプライベート感を最優先する高級隠れ家温泉旅館を求めている人
- 移動時の館内混雑や、敷地内の長い徒歩移動が負担になる高齢者単独旅行
【ハワイアン センター 福島】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:昔の「常磐ハワイアンセンター」と現在の「スパリゾートハワイアンズ」は何が違いますか?
A1:1990年に改称された同一の施設です。創業時の全天候型大ドームに加え、ギネス記録の巨大露天風呂「江戸情話 与市」、新ホテル「モノリスタワー」、大型スライダー「ビッグアロハ」などが次々と増設され、昭和のレジャーセンターから現代的な滞在型スパリゾートへと大規模に拡張されています。
Q2:首都圏からの無料送迎バスは誰でも利用できますか?予約方法は?
A2:直営ホテル(ホテルハワイアンズ、モノリスタワー、ウイルポート等)の宿泊予約者限定で利用可能です。日帰り利用者は対象外となります。宿泊予約完了後、公式予約システムまたは電話にて事前にバス席の確保が必要です(満席になり次第締切)。
Q3:入場券を最も安く購入する方法は何ですか?
A3:宿泊パック(入場券付き)を利用するのが最も割安です。日帰りの場合は、公式サイトで販売されている前売り電子チケットや、JAF会員証・タイムズクラブ会員特典の提示、福利厚生サービス(ベネフィット・ワン等)の割引クーポンの利用が推奨されます。
まとめ:時代を超えて進化し続ける巨大リゾートの未来
常磐炭鉱の閉山という絶望から立ち上がり、フラガールの情熱と温泉の熱量によって奇跡の復興を成し遂げた福島ハワイアンセンター。その魂は、スパリゾートハワイアンズと名を変え、外資ファンドによる新たな資本参加を経た現代にも力強く息づいています。
昭和のノスタルジーと令和のエンターテインメントが融合したこの唯一無二のリゾートは、旅程や予約方法を賢く選ぶことで、あらゆる世代にとって忘れられない体験を提供してくれます。次の旅行計画には、首都圏直行バスや各種割引を賢く活用し、進化し続ける「日本のハワイ」の息吹を肌で感じてみてください。 (出典: ハワイアン センター 福島(Yahoo!ニュース))